2021.6.4
COVID-19の臨床経過。COVID-19は3つの段階phase、すなわち前症候期pre-symptomtic phase、症候期symptomatic phase、回復期recovery phaseに分けられる。ウイルス増殖(viral replication)は前症候期の後期~症候期の早期に起こる。その後にマクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、炎症性サイトカインなどの自然免疫反応(innate immune response)が起る。重症例(severe disease)では、自然免疫反応は増強され、上昇し続けてして、組織障害を引き起こす。抗s原特異的なBおよびT細胞による細胞性免疫反応は、軽症~中等症のCOVID-19では感染1週間以内に検出される。図の下段に、ウイルスと免疫の動態を基にした、可能な介入の適切なタイミングを示した。免疫調節薬(immunomodulator)は遺伝子組み換えによるもの、あるいは免疫系の特異的な部分を標的にした蛋白である。
この論文においても、asymptomaticあるいはpresymptomaticの時期に(ウイルスの増殖期に)抗ウイルス剤を使用すること(antiviral therapy)を示している。
わが国に流布している診療の手引きでは、抗ウイルス剤の投与は中等症Ⅰからである。これはレムデシビルを念頭に置いたものであり、ファビピラビルやイベルメクチンは考慮されていない。眼中にないと言ったところか。
中等症Ⅰとは、肺炎、呼吸困難はあるが、酸素飽和度は93~96%の状態ものを指す。通常発症してから数日経っており、抗ウイルス剤投与は遅れている状態である。この状態で抗ウイルス剤を投与しても、効果が薄いと考えられる。