抗ウイルス薬は早期投与が原則

2021.2.6

オセルタミビル(タミフル)添付文書

〈治療〉
7.1 インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること。症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有 効性を裏付けるデータは得られていない。
〈予防〉
7.2 インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始すること。接触後48時間経過後に投与を開始した場合における 有効性を裏付けるデータは得られていない。
7.3 インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を連続して服用している期間のみ持続する。

ラニナミビル(イナビル) 添付文書

〈治療〉
症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。
〈予防〉
次の点を注意して使用すること。
インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始する。接触から48時間を経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていない。
本剤の服用開始から10日以降のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていない。

ザナミビル(リレンザ) 添付文書

1 .本剤を治療に用いる場合、発症後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい(症状発現から48 時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。
2 .本剤を予防に用いる場合には、次の点に注意して使用すること。
(1)インフルエンザウイルス感染症患者に接触後1.5日以内に投与を開始すること(接触後 36時間経過後に投 与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。
(2)インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を連続して使用している期間のみ持続する。

ペラミビル(ラピアクタ)  添付文書

本剤の投与は、症状発現後、可能な限り速やかに開始することが望ましい。
症状発現から 48時間経過後に投与を開始した患者 における有効性を裏付けるデータは得られていない。

バロキサビル(ゾフルーザ) 添付文書

本剤の投与は,症状発現後,可能な限り速やかに開始することが望ましい。
[症状発現から 48 時間経過後に投与を開始した患者に おける有効性を裏付けるデータは得られていない。]

バラシクロビル (アシクロビル) 添付文書

(1) 本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましい。
なお、帯状疱疹の治療においては原則として皮疹出現後5日以内に投与を開始すること。
(2) 単純疱疹の治療においては本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。
ただし、初発型性器ヘルペスは重症化する場合があるため、本剤を10日間まで使用可能とする。
(3) 帯状疱疹の治療においては本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

ファビピラビル(アビガン) 添付文書 インフルエンザ治療薬として

インフルエンザ様症状の発現後速やかに投与を開始すること。
*本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は 効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。

コロナウイルス治療に関して、開発者の白木公康先生はこう述べておられる。

COVID-19肺炎にファビピラビルを使用するとウイルスに著効でも,炎症には即効性は期待できないことと,治療を開始しても数日の炎症像の悪化は避けがたいと理解していただくことが必要と思われる。また,感染して10時間以降の細胞ではウイルスRNA生産を終えているので,RNA合成阻害薬であるファビピラビルは有効ではない。ファビピラビルは,このような細胞群の周囲にあるRNA合成前の細胞にのみ有効で,感染の広がりを止めるだけである。したがって,ファビピラビルは早期に使用して大きな炎症(肺炎)を起こさせないようにしないと3週間の罹病期間は短縮できない。

急性ウイルス性疾患の治療においては,抗ウイルス薬の治療開始時期は,水痘では24時間以内,インフルエンザでは48時間以内,帯状疱疹では72時間以内というように,早期に薬剤投与による治療が開始されている。この点を考慮すると,COVID-19は,発症3~5日後までに治療を開始して,肺炎や神経系・循環器系合併症を防ぎ,後遺症を残さない治療が理想であるように思う。 緊急寄稿(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアビガン承認に向けて(白木公康)