マスクを着用する前に覚えておきたい5つの数値

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1µm(ミクロン)=1mmの千分の一

1. 飛沫とは直径5ミクロン以上の水分を含んだ粒子である(定義)

ちなみにpm2.5は直径2.5ミクロンの粒子です。スギ花粉は直径30~40ミクロン。

2. サージカルマスクは飛沫を95%以上ブロックする

【サージカルマスクの規格】BFE(細菌濾過率:細菌を含む、平均約3μmの粒子の濾過率)が95%以上である。
黄色ブドウ球菌浮遊液の飛沫粒子径2.7~3.3μmを97.3%ブロックするというデータもあります。
★サージカルマスクはスギ花粉はブロックできるが、pm2.5はブロックできない。

3. N95マスクは直径0.1 ミクロン以上の飛沫核を95%以上ブロックする

【N95マスクの規格】直径0.3ミクロン(動力学的質量径)のNaCl粒子を95%以上阻止する。
動力学的質量径(粒子の密度を考慮した数値)0.3μmは、数量中位径(実際の粒子の大きさ)で表すと0.075μm。覚えにくいので0.1μmとした。
★N95マスクはスギ花粉もpm2.5もブロックできるが、20~30分も着ければ息苦しくなる。

Nの意味はNot resistant to oil(耐油性なし)。医療現場では耐油性能は求められていないこと、N99やN100は呼気抵抗が高く日常の使用には向いていないことから、N95マスクが選択されています

4. 細菌のサイズは1ミクロンである

黄色ブドウ球菌は1ミクロン。大腸菌は短軸1ミクロン、長軸2ミクロンくらい。
★細菌はサージカルマスクではブロックされない。

5. コロナウイルスのサイズは0.1ミクロンである

正確には直径 0.08~0.16ミクロン。A型インフルエンザウイルスの大きさは0.08~0.12ミクロンでコロナウイルスと同じくらい。
ノロウイルスは0.038ミクロンで、コロナウイルスの1/3とかなり小さいです。
★ウイルス粒子はサージカルマスクではブロックされない。


[解説]飛沫から飛沫核へ

咳やくしゃみをすると、口から飛沫が飛び出します。飛沫は水分を含んだ直径5um以上の粒子を指します。飛沫は重いので、床・地面にすぐに落下します。しかし、一部の飛沫は空中で水分を失い(揮発)、エアロゾル(飛沫核)となります。エアロゾルは軽く、空中をしばらく漂います(ブラウン運動)。飛沫がインフルエンザウイルスやコロナウイルスを含んでいるなら、エアロゾルもウイルスを含んでいます。空中をしばらく漂った後、人に感染します。これがエアロゾル感染(飛沫核感染=空気感染)です。
(註1)エアロゾルの定義は感染症学的にはあいまいですが、文献的には飛沫核と同義と考えられます。感染症学的には飛沫はエアロゾルではありません

(註2)物理学的にはエアロゾルは粒子のサイズは問わないようです。エアロゾルは空中を浮遊しブラウン運動をしている粒子と定義づけられます。したがって花粉やpm2.5もエアロゾルと言えます。参考文献

感染制御医 向野賢治 R2.3.7