@単純ヘルペスウイルス herpes simplex virus(HSV)

口唇型と性器型に分けられ、口唇型は主として単純ヘルペスウイルス1型,性器型は同2型により起こる。

1型による初感染は乳幼児期に起こり、大部分は不顕性に終るが、ときに歯肉口内炎を発症させる。またごく稀に角膜炎、脳炎、Kaposi水痘様疹を起こす。その後、神経節に潜伏し、疲労、ストレスなどにより再活性化し、口唇周囲などに水疱を生じる。(→口唇ヘルペス、右図参照)

2型は主に性交により初感染し、外陰部に疼痛を伴う小水疱を形成する。その後1型同様神経節に潜伏し、妊娠などにより再活性化される。特に妊娠中の陰部ヘルペスは、出産時に経産道的に新生児に感染して(垂直感染) 重篤な病変を引き起こすことがあるので重要な問題となっている。

★ HSVは食器、洗面器などに付着してから、3〜4時間は生存し、皮膚上でも2時間は感染性を保持する。口唇ヘルペス患者の78%が口腔内にウイルスを排泄し, 67%が手にウイルスが証明されている。

★ 口唇ヘルペスの99%以上はHSV-1、陰部ヘルペスの80〜90% はHSV-2と言われてきたが、最近のデータでは、女性性器からは40%にHSV-1が分離。

★単純ヘルペス脳炎の大部分はHSV-1によって起こる。

[治療]抗ウイルス薬にはアシクロビルやビダラビン(Ara-A)があるが、前者の方が有効である。

単純ヘルペスウイルス-まとめ

タイプ
感染経路
初感染(急性症状)
潜伏部位
回帰発症
HSV-1
口腔および呼吸器
歯肉口内炎
三叉神経節
口唇ヘルペスなど
HSV-2
性行為
外陰膣炎
腰仙髄後根神経節
性器ヘルペスなど

 

  アシクロビル(Acyclovir)

   1.抗ヘルペスウイルス剤:グアノシンアナログ

   2.HSV,VZVに有効。CMVに無効。EBVには不明。(CMVにはガンシクロビルが有効)

   3.ウイルスのDNAポリメラーゼを選択的に抑制する。ウイルスDNA鎖の延長を阻害し、ウイルスの増殖を阻害する。

   4.選択性が高い。

   5.副作用として腎障害(→crystal nephropatia)がある。Ara-Aに比し、副作用は少ない。

   6.Ara-Aに比べ、耐性株が生じやすい。