壊疽 えそ gangrene

壊死(えし) に陥った組織が腐敗菌による感染を受けて腐敗し, 黒変して悪臭を放つようになったものをいう。 古くからの用語。 起炎菌としては嫌気性菌のクロストリジウムが最も多い。 糖分を融解してガスを発生する場合には, ガス壊疽ということがある。 腸管の壊死は,放置すれば必ず壊疽に陥る。 虫垂炎も放置すれば壊疽性となる。 壊疽に陥りやすいのはほかに,肺,子宮, 手足の指など,外界と連絡のあるものに限られる。 本来の壊疽は腐敗・融解を起こす湿性の病変であるが, 血管閉塞によって足指が壊死に陥り, 感染を受けることなく,その部位が乾燥して黒色になることがある。 これは乾性の壊疽ではなく,ミイラ化である。 これにも,感染が加われば,湿性の真の壊疽になる。

ガス壊疽 ガスえそ gas gangrene

クロストリジウム属clostridiumに属する嫌気性菌が傷口から侵入して起こる, 広範な筋肉の感染症。 原因菌は,ウェルシュ菌C.welchii,ノビ菌C.novyi, セプチクス菌C.septicumなど 6 種類あり, 数種類の混合感染によるものが多い。 いずれもグラム陽性の杆菌で,胞子をもち, 毒素を産生する。 土壌中に広く分布するので,泥のついた小さな傷に起こりやすく, 汚染が激しい戦場で多発しやすい。 受傷後 24 ? 72 時間以内に傷口の痛みとはれが起こり, 筋肉は壊疽を起こし,茶色の半ば濁った悪臭の強い滲出液が出, 組織は高度に障害される。 さらに,菌の産生する毒素によって早期に意識障害や黄疸を併発する。 進行は非常に速く,早期に腐敗した組織を切除し, 傷を浄化しないと死に至る。 病変の主体が筋肉の壊死であり,発生したガスが滲出液に混じったり, 皮膚を押すとプチプチという音が聞こえるので, この名称がある。 治療は壊死組織を早期に切除し,抗生物質を大量に投与して行う。