日本医療福祉設備協会規格 病院空調設備の設計・管理指針 HEAS-02-2004 より

3. 室内環境

3.3 温湿度条件

3.3.1 基本方針 

各室の温湿度は表3.3-1が望ましい。ただし、医療上の必要がある場合には、担当医師などと協議してこれを定めなければならない。

温湿度条件

[解説]                        

(1) 病院における代表的な室の、温湿度条件を表3.3-1に示す。他の詳細な各室については第8章を参照されたい。また、この表の値は、機器容量やダクト寸法選定のための設計条件と解釈すべきであり、実際の運用に当たって絶対的にこれを満足させなければならないという性質のものではない。省エネルギーの観点からは、許容できる範囲内で、できるだけ条件を緩和して運転することが望ましい。特に寒冷地の病室などでは、生活習慣から暖房は室内を高温に設定する傾向がある。このような場合には低湿度による悪影響に留意する必要がある。

(2) 医療活動における特殊な温度条件にも配慮する必要がある。例えば、低温環境下での手術(心臓外科など)や、医療機械(ガンマカメラ・MRIなど)を温度変動から保護する目的の24時間空調など、それぞれの条件を満足させなければならない。

(3) 室内の温度分布にも注意を払う必要がある。室温を検出するサーモスタットの位置は、部屋の代表温度として妥当な場所に取り付ける。特に、手術室・新生児室・ICUなどの室は、十分に検討する必要がある。

(4) 外壁・窓ガラス部分からのコールドドラフトや日射熱負荷の影響は大きく、建物完成後の対応は非常に難しいので、計画時に建築を含めた総合的な検討をする必要がある。

(5) 室内の使用状況によって時間経過とともに室温も設定変えしたいとの要求がある。これらの室についてはそれぞれ個別に温度設定ができるようにする。

(6) 常時使用されるとは限らない緊急手術室などでは、急速に所定の温湿度条件に到達することが可能なように、空調装置の容量などにも留意することが望ましい。

(7) 廊下や便所など積極的には温度調整を行わない場所であっても、患者の生活範囲内に存在する室については、極端な熱衝撃(ヒートショック)を与えないように、適当な補助暖房装置を取り付けたり、夜間間欠運転を実施して、その温度を維持することが望ましい。

(8) X線撮影の操作室・中央検査室・ナースステーションなどでは、一般に暖房負荷が小さく室内発熱量が大きいため、冬季でも冷房可能なシステムを考慮することが望ましい。

3.3.2 温熱環境の要素と快適指標

 体感温度は温湿度のほか、放射や気流によって大きく影響されるため、これらについても十分検討しなければならない。

[解説]

(1) 熱環境に影響を及ぼす因子としては、温度・湿度のほか、放射・気流および人体の代謝量と着衣量があり、これらを温熱環境の6要素と呼んでいる。空調の制御は一般的に温度・湿度によって行われることが多いが、周壁の表面温度に起因する平均放射度(MRT)や、空調吹出し気流によるドラフトなどが体感温度に大きく影響を及ぼすので、注意する必要がある。

(2) 特に病室においては、空調に対しても抵抗力の弱まった患者を収容しているので、ファンコイルユニットや吹出し口の形状・配置にも留意し、空調吹出し気流が直接ベッド面に吹き付けることのないような計画としなければならない。