2008. 6. 30

複数患者への穿刺器具の使い回し問題

針周辺部分を含めて使い捨ての徹底を

北澤 京子=日経メディカル


血糖値測定の際に使われる微量採血用穿刺器具には、
(1)器具全体が使い捨て
(2)針周辺部分が使い捨て
(3)針は使い捨てだが先端キャップは使い捨てではない
 ――の3種類がある。全国で相次ぎ発覚している複数患者への穿刺器具の使い回し問題は、本来は(1)や(2)の器具を使うべきところ、(3)の器具を使っていたというものだ。

 厚生労働省は2006年3月に、複数患者に対して(3)の器具を使わないことを周知する旨を、都道府県や医療関係団体に通知していた。(3)の器具は、血糖自己測定を行う患者が自宅などで使用することを想定しており、添付文書の禁忌欄にも「患者個人の使用に限り、複数の患者に使用しないこと」と記載されている。

 それなのに、なぜ(3)の器具を使っていたのか。考えられる原因には幾つかある。(2)と(3)は共にペン型で、見た目がよく似ていて紛らわしいこと、先の通知が医療機関や介護施設などに十分伝わっていなかったこと、また、企業側が(2)と(3)を明確に区別して情報提供できていなかった可能性――などだ。

 医療機関や介護施設などでの感染対策はどうだったのか。使い回しの中には、針は交換していたが、先端キャップを複数の患者に使っていたというケースが少なくない。しかし、先の通知が出されるきっかけとなったHBV感染に関して言えば、(3)の器具の場合、使用後の先端キャップをアルコールで拭いた程度では、消毒法として十分とはいえない(厚生労働省「B型肝炎について〜一般的なQ&A」消毒の項参照)。日本では、(3)の器具によりHBV感染が起こったという事例は報告されていないものの、万全を期すため、複数患者に(3)の器具は使わないというのが、通知の考え方だ。

 医薬品医療機器総合機構は6月27日に「医療安全情報」を出し、改めて穿刺器具の使用のポイントをまとめた(http://www.info.pmda.go.jp/anzen_pmda/file/iryo_anzen05.pdf )。