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SHEA(米国医療感染学会)/IDSA(米国感染症学会)

急性期病院における医療感染の予防戦略

中心静脈カテ関連血流感染(CLABSI)の予防

T.CLABSIの予防と監視のための基本的方法basic practices:すべての急性期病院に推奨される

A.挿入前

1.中心静脈カテを挿入し、ケアし、維持する全ての医療従事者に、CLABSI予防に関する教育を行う(A-U)。

B.挿入時

1.CVカテ挿入時に感染防止行為の遵守を保証するためのカテーテル・チェックリストを使用する(B-U)。
2.カテーテル挿入・操作前に手指衛生を実行する(B-U)。
3.成人患者でCVアクセスのためにそ径静脈の使用を避ける(A-T)。
4.すべてを含んだカテーテルカートあるいはキットを使う(B-U)。
5.CVカテ挿入時にはマキシマルバリアプレコーションを使用する(A-T)。
6.2ヶ月以上の年齢の患者の皮膚消毒にクロルヘキシジン・ベースの消毒剤を使う(A-T)

C.挿入後

1.カテーテルにアクセスする前に、カテーテルハブ、ニードルレスコネクター、インジェクションポートを消毒する(B-U)。
2.必要不可欠ではないカテーテルは抜去する(A-U)
3.成人や若者における非トンネル型中心静脈カテーテルでは、透明ドレッシングが汚れたり、緩んだり、濡れたりしたなら5〜7日毎あるいはそれ以上頻繁に透明ドレッシングを交換しクロルヘキシジン・ベースの消毒剤で刺入サイトをケアする:ガーゼ・ドレッシングが汚れたり、緩んだり、濡れたりしたなら、2日毎かそれ以上頻繁にガーゼを交換する(A-T)
4.血液、血液製剤、脂肪製剤に使われなかった点滴セットadministration set は96時間未満not longer than96 hoursの頻度で交換する(A-T)
5.CLABSIのサーベイランスを実施する(B-U)
6.透析カテーテルの刺入部位には抗菌薬軟膏を使用する。(A-T)

U.CLABSI予防のための特殊な方法:CLABSIのリスク評価を行う。これらの特殊な方法は、基本的方法を実施したにもかかわらず、結果成績やリスク評価から効果的予防法の欠如が示唆された病院内の区域や集団においての実施が推奨される。

1. 2ヶ月以上の年齢のICU患者を毎日on daily basis、クロルヘキシジン溶液に入浴させる(B-U)。
2. 成人患者には消毒剤・抗菌剤含浸の中心静脈カテーテルを使用する(B-T)。
3. 2ヶ月以上の年齢の患者の中心静脈カテーテルに対し、クロルヘキシジン含浸スポンジ・ドレッシングを使用する(A-T)。
4. 中心静脈カテ ーテルに、抗菌薬ロックを使用する (A-T)。

V.CLABSIの予防のためのルーチンな方法とは考えるべきでないもの

1.短期間あるいはトンネル型カテーテルの挿入、あるいはカテーテルがその時だけin situの場合には、抗菌薬の予防投与はしない(A-T)。
2.中心静脈かテーテルや動脈カテーテルをルーチンに交換しない(A-T)。
3.メカニカルバルブ付き陽圧ニードルレス・コネクターを、リスク、利益、適正使用に関する教育の完全な評価をしないで、ルーチンに使用しない。(B-U)

人工呼吸器関連性肺炎(VAP)の予防

T.CLABSIの予防と監視のための基本的方法basic practices:すべての急性期病院に推奨される

A. 教育

1. 換気を受けている患者patients undergoing ventilationのケアをする医療従事者に対し、VAP(地域の疫学、リスク因子、患者成績を含む)についての教育を行う(A-U)。
2. 換気を受けている患者のケアを行う臨床医に対し、非侵襲的換気戦略についての教育を行う(B-V)。

B. VAPのサーベイランス

1. VAPに特徴的なプロセス測定process measures による遵守への直接的監視を行う(B-V)
2. VAPとそれに関連するプロセス測定に対し、能動的サーベイランスを行う:リスク評価に基づいて、VAPのハイリスクであるとわかった、あるいは疑われている、換気を受けている患者のケアをしている病棟において。(A-U)

C. 方法practice

1. エビデンスに基づいた標準(たとえば、CDCや専門組織のガイドライン)と整合性のある、呼吸器具の消毒・滅菌・維持の方針と方法policies and practicesを実行する(A-U)。
2. すべての患者(医学的禁忌の患者を除いて)を半臥位semirecumbentに維持することを保証ensureする(確実にする)(B-U)。
3. 定期的な消毒剤による口腔ケアを行う:製品の指針に基づいて(A-T)。
4. 非侵襲的換気器具へのアクセスを良くし、非侵襲的換気の使用を推進するプロトコールを実行する(B-V)。

U.VAP予防のための特殊な方法:VAPのリスク評価を行う。これらの特殊な方法は、基本的方法を実施したにもかかわらず、結果成績やリスク評価から効果的予防法の欠如が示唆された病院内の区域や集団においての実施が推奨される。

1. すべての適格な患者に対し、インラインおよび声門下サクションのある気管内チューブを使用する(B-V)
2. 換気を受けている患者に使用される全てのICUのベッドは、傾斜角の継続的監視する装置が内蔵built-inされていることを保証する(B-V)。

V.VAPの予防のためのルーチンな方法とは考えるべきでないもの

1. 経静脈的免疫グロブリン投与、白血球刺激因子(filgrastimやsargramostim)、経腸グルタミン投与、胸部理学療法をルーチンに行わない(A-V)
2. 動的・継続的側方回転治療ベッドによる回転療法rotational therapyをルーチンに行わない。
3. 予防的抗菌薬の噴霧あるいは全身的投与をルーチンに行わない。

カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)の予防

T.CAUTIの予防と監視のための基本的方法basic practices:すべての急性期病院に推奨される

A.CAUTIを予防するための適切な基本設備infrastructure

1.カテーテルの使用、挿入、維持に関する指針文written guidelineを作成し、実施する(A-U)。
2.訓練を受けた、専門dedicatedの職員だけがカテーテルを挿入することを保証する(B-V)。
3.無菌的カテーテル挿入に必要な器具が利用できることを保証する(A-V)。
4.患者記録の次の情報を文書化するシステムを実行する:カテーテル挿入の適応、カテーテル挿入の日時、カテーテルを挿入した人、カテーテル抜去の日時(A-V)
5.カテーテル使用と結果のサーベイランスをサポートする、十分な訓練された職員と技術の資源があることを保証する(A-V)。

B.CAUTIのサーベイランス

1.カテーテル使用の頻度、潜在的リスク因子(たとえば、外科、産科、救急医療のタイプ)を考慮しながら、リスク評価に基づいて、サーベイランスを実施する患者群や病棟を特定する(B-V)。
2.CAUTIを持っている患者(分子数)を特定するための、標準化された診断基準を使用する(A-U)。
3.監視されている患者群や病棟の全ての患者のカテーテル挿入日数(分母数)に関する情報を集める(A-U)。
4.対象集団のCAUTI感染率を計算する(A-U)。
5.尿道留置カテーテルの使用を評価する:入院中に尿道留置カテーテルを挿入された患者のパーセント、認可された適応のカテーテル使用のパーセント、留置カテーテルの使用期間など(B-U)。
6.施設に適当な、明白に文書化された、症例発見のためのサーベイランス方法を使用する(A-V)。

C.教育と訓練

1.尿路カテーテルの挿入、ケア、維持に関わる医療従事者に対し、CAUTI(留置カテーテルの代替法、カテーテル挿入、維持、抜去の方法を含む)について教育をする(A-V)。

D.カテーテル挿入のための適切な手技

1.尿路カテーテルは患者ケアに必要な時だけ挿入し、適応が続く限りのみ留置する(A-U)。
2.適当なときに、他のマネジメント法(コンドームカテーテル、導尿)を考慮する(A-T)。
3.カテーテル挿入直前、カテーテル部位・器具の操作前後には(CDCやWHOガイドラインに基づいて)手指衛生を実行する(A-V)。
4.無菌操作と滅菌器具の使用によって、カテーテルを挿入する(A-V)。
5.手袋、ドレープ、スポンジを使う;尿道口洗浄のための無菌あるいは消毒液;挿入のための単包式無菌潤滑剤(A-V)。
6.尿道損傷を最小限にするために、適切なドレナージ可能な、できるだけ細いカテーテルを使用する(B-V)。

F.留置カテーテルの適切な管理

1.挿入後は、移動や尿道牽引を防ぐために、留置カテーテルを適切に固定する(A-V)。
2.無菌的な、継続して閉鎖型のドレナージシステムを維持する(A-T)。
3.カテーテルを灌流irrigateしなければならないことがないなら、カテーテルとドレナージチューブを切り離さない(A-T)。
4.無菌操作の失敗、切り離し、リークが起きたときは、無菌操作によって、カテーテル-ドレナージを消毒して、採尿システムを取り替える(A-T)。
5.新鮮尿の検査のために、消毒剤で採取ポートを洗浄した後、滅菌注射器・針で尿を吸引することによって、小サンプルを集める(A-U)。
6.特殊検査のためのより多量の尿はドレナージバッグから無菌的に採取する(A-U)。
7.スムーズな尿流を維持する(A-U)
8. 患者毎別々の採尿容器を使って、採尿バッグは定期的に空にする。蛇口が採尿容器に触れないようにする。(A-U)
9.採尿バックは膀胱より常に低い位置を保つ(A-V)。
10.尿道口を消毒剤で洗浄することは必要ない。定期的な清潔法hygieneが適当である。

U.CAUTI予防のための特殊な方法:CAUTIのリスク評価を行う。これらの特殊な方法は、基本的方法を実施したにもかかわらず、結果成績やリスク評価から効果的予防法の欠如が示唆された病院内の区域や集団においての実施が推奨される。

1. 有効であると記載されている1つ以上の方法を使って、もはや必要でなくなったカテーテルを特定し、抜去する施設全体のプログラムを実行する(A-U)。
2. 術後尿閉マネジメントの手順protocolを作成する。看護師主導による間歇的カテーテル・膀胱スキャン使用を含む(B-T)。
3. カテーテル使用やそれによる有害事象を分析し報告するシステムを確立する(B-V)。

V.CAUTIの予防のためのルーチンな方法とは考えるべきでないもの

1. 銀コーティング・カテーテルやその他の抗菌カテーテルをルーチンに使用しない(A-T)。
2. カテーテル挿入患者における無症候性細菌尿のスクリーニング検査をしない(A-U)。
3. 侵襲的泌尿器科手技の前を除いて、カテーテル挿入患者の無症候性細菌尿を治療しない(A-T)。
4. 膀胱洗浄をしない(A-T)。
5. 感染予防のための全身的抗菌薬投与をルーチンに行なわない(A-U)。
6. カテーテルをルーチンに交換しない(A-V)。

手術部位感染症(SSI)の予防

T.SSIの予防と監視のための基本的方法basic practices:すべての急性期病院に推奨される

A. SSIサーベイランス

1.SSIサーベイランスを行なう(A-U)。
2.手術および周術期の職員および指導者に対し、SSIサーベイランスとプロセス測定に関する継続的フィードバックを提供する(A-U)。
3.自動化データの利用によって、サーベイランスの効果を増大させる(A−U)。

B. 方法

1. エビデンス・ベースの標準とガイドラインに従って、予防抗菌薬投与を行う(A-T)。
2.毛が手術の邪魔にならない限り、手術部位の除毛をしない。剃刀を使わない(A-U)。
3.心臓手術を受ける患者では、術直後の期間に血糖値をコントロールする(A-T)。
4.プロセス測定(抗菌薬予防投与、適切な除毛、血糖コントロールなど、心臓手術の場合)の遵守率について評価し、管理者にフィードバックする(A-V)。
5.SSIのリスクを減少させることを目的とした方針と方法(規制と認定要求に合致し、エビデンス・ベースの標準(たとえば、CDCや専門組織のガイドライン)と整合性のあるもの)を実行する

C. 教育

1.外科医と周術期職員に、SSI予防の教育をする(A-V)。
2.必要に応じて、患者と家族にSSI予防について教育する(A-V)。

U.SSI予防のための特殊な方法:SSIのリスク評価を行う。これらの特殊な方法は、基本的方法を実施したにもかかわらず、結果成績やリスク評価から効果的予防法の欠如が示唆された病院内の区域や集団においての実施が推奨される。

1. 問題の発生源と範囲を決定し、介入の可能なターゲットを特定するために、拡大したSSIサーベイランスを実行する(B−U)。

V.SSIの予防のためのルーチンな方法とは考えるべきでないもの

1.抗菌薬予防投与にバンコマイシンをルーチンに使わない;しかしながら、バンコマイシンは特殊な臨床状況では適切な薬剤である(B−U)。
2.経静脈栄養を提供するために手術をルーチンに遅らせない(A-T)。

MRSA感染の予防

T.MRSA感染の予防と監視のための基本的方法basic practices:すべての急性期病院に推奨される

A. MRSA感染予防計画の要素

1. MRSAのリスク評価を実施する(B-V)
2. MRSA監視プログラムを実行する(A-V)
3. CDCあるいはWHOの手指衛生勧告を遵守することを推進する(A-U)
4. MRSA保菌/感染患者に接触予防策を使用する(A-U)
5. 器具と環境の洗浄と消毒を確実に行う(B-V)
6. 医療従事者にMRSAについて教育する:リスク因子、感染経路、感染合併症、予防方法、地域の疫学など(B-V)
7. 新たなMRSA保菌/感染患者を感染対策職員にすぐに知らせる、検査室ベースの警報システムを実行する(B-V)
8. MRSA保菌/感染患者の再入院・再入院、検査室ベースの警報システムを実行する(B-V)
9. MRSAのデータや他のアウトカム測定outcome measureを、重要な関係者(上級幹部、医師、看護師)に提供する(B-V)。
10.必要に応じて、患者と家族にMRSAについて教育する(A-V)。

U.MRSA感染予防のための特殊な方法:これらの特殊な方法は、基本的方法を実施したにもかかわらず、結果成績やリスク評価から効果的予防法の欠如が示唆された病院内の区域や集団においての実施が推奨される。

A. 能動的サーベイランス検査:患者のためのMRSAスクリーニング・プログラム

1.基本方法の実施にもかかわらずMRSAの伝播が進行中であることを示唆する証拠があるときは、MRSA感染予防対策のための多角的戦略の一環として、MRSA能動的サーベイランス検査プログラムを実行する(B-U)。

B. 医療従事者におけるMRSA能動的サーベイランス検査

1.医療従事者のMRSA保菌/感染について、それらがMRSA感染の患者集団clusterと疫学的に関連しているときのみ、医療従事者のスクリーニング検査を行なう(B-V)。

C. クロルヘキシジンによるルーチンの入浴

1.成人ICU患者はルーチンにクロルヘキシジンの入浴をさせる(B-V)

D. MRSA保菌患者に対する除菌療法

1.能動的サーベイランス検査プログラムに連動してMRSA保菌患者に対し、除菌療法を行なう(B-V)。

クロストリジウム・デフィシル感染(CDI)の予防

T.CDIの予防と監視のための基本的方法:すべての急性期病院に推奨される

A. CDI予防計画の要素

1. 感染患者には接触予防策を使用する。個室隔離が望ましい。
 (手指衛生A-U、手袋A-T、ガウン   B-V、個室隔離B-V)
2. 器具と環境の洗浄と消毒を確実に行う(器具B-V、環境B-U)。
3. 新たに診断されたCDIを感染対策職員にすぐに知らせる、検査室ベースの警報システムを実行する(B-V)
4. CDIサーベイランスを実施し、CDIデータを分析・報告する(B−V)。
5. 医療従事者、清掃職員、病院管理者にCDIについて教育する(B-V)。
6. 必要に応じて、患者と家族にCDIについて教育する(B-V)。
7. CDCやWHOの手指衛生・接触予防策勧告の遵守状況を評価する(B−V)

U.CDI予防のための特殊な方法:SSIのリスク評価を行う。これらの特殊な方法は、基本的方法を実施したにもかかわらず、結果成績やリスク評価から効果的予防法の欠如が示唆された病院内の区域や集団においての実施が推奨される。

A. 医療従事者によるC.デフィシル伝播を最小にする方法

 1. プロセス測定による遵守の評価を強化する(B−V)。
 2. CDI患者の病室を出る前に、望ましい方法として石鹸と流水で手指衛生を実行する(B−V)。
 3. CDI検査結果がまだ出てない間、下痢患者は接触予防策のもとに置く(B-V)。
 4. 患者が無症状になった後、接触予防策を退院のときまで延長する(B-V)。

B. 環境からのCDI伝播を最小にする方法

 1. 病室清掃の適切性を評価する(B−V)。
 2. 環境清掃のために、次亜塩素酸ナトリウム(ブリーチ)を含む洗浄剤を使用する。次亜塩素酸ナトリウムが環境消毒に必要であることを決定されたときに、清掃部門と連携するシステムを実行する(B−U)。

C.CDI罹患のリスクを減少する方法

1. 抗菌薬マネジメントプログラムを開始する(A-U)。

V.CDIの予防のためのルーチンな方法とは考えるべきでないもの

1. CDIの症候・症状の無い患者に対して、C.デフィシルの検査をしない(B−U)。
2. 最近CDIの治療を受けた患者に対し、奏功した治療の終りにC.デフィシルの検査を繰り返さない(B−V)。

 

 

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