コロナウイルスの伝播の仕方に基づいてガイダンスをアップデイトせよ

Nature, The international journal of science / 4 February 2021

2021.10.29

Update guidance on how coronavirus spreads(全訳)

環境表面からCOVID-19を獲得することはまれである。WHOと国の保健機関はそれらのアドバイスを明らかにする必要がある。

パンデミックになって1年、そのエビデンスは今や明らかである。コロナウイルスSARS-Co-2は主にpredominantly空気を介して伝播されるー人々が話したり息をしたりすることで吐き出される大飛沫やエアロゾルと呼ばれる小飛沫によって。環境表面からのウイルスの獲得は、一見もっともらしいが 稀のように思われる(E. Goldman Lancet Infect. Dis. 20, 892–893; 2020)。

にもかかわらず、公的な保健機関は環境表面に脅威があり、頻繁に消毒すべきであると未だに強調している。ウイルス拡散防止の取り組みにどのようにして優先順位を付けるかを基に明確なガイダンスが必要である時に、その結果は混乱した公的なメッセージである。

最も新しいガイダンスは昨年の10月にアップデイトされたもので、WHO(世界保健機関)はこうアドバイスしている。「環境表面に触れることを避ける。特に公共の場では。なぜならCOVID-19罹患者が前にそこに触ったかもしれないから。標準的な消毒剤を使って環境表面を定期的に清浄にすること」。WHOの担当者が1月にNatureに次のように語った、「コロナウイルスがfomite(無生物の媒介物)として知られる汚染された表面を介して伝播するエビデンスはごくわずかである」。しかし、彼らは「″SARS-CoV-2感染者の近くで″SARS-CoV-2RNAが検出されたというエビデンスを引用して、fomiteはそれでも伝播の可能な様式である」と付け加えた。そして米国CDCはウェブサイトで、「環境表面による伝播はCOVID-19の通常の感染経路とは考えられない」と述べているが、「多くの人が触れた環境表面や物の頻繁な消毒は重要である」とも述べている。

fomiteのリスクが明確でないことが、空気感染のずっと大きなリスクと比較して、深刻な影響を与えている。マスクの重要性を強調することや、換気を改善する方法を研究したりすることに対してより多くの資金を投入している時に、人々や組織は高価な消毒作業に優先順位を与え続けている。後者(*換気の研究)はより複雑であるが、より効果があると考えられる。

ニューヨーク都市交通当局は単独で「年間のCOVID関連衛生コストは現在と2023年の間で約380ミリオンドルになる」と推測している。昨年の暮れに、交通当局は連邦政府に対してエアロゾルのみに焦点を当てるべきかどうかアドバイスを求めた。fomiteにも集中するように言われ、エアロゾルに取り組むよりも環境表面の消毒に対してより多くの資金をこれまで向けてきた

武漢の琴台大劇院を消毒するチーム
1月、武漢の琴台大劇院を消毒するチーム(訳者註:馬鹿げたパフォーマンスである)

ウイルスが空気を介して(大・小の飛沫で)伝播することが受け入れられているからには、伝播防止への取り組みは、換気を改善することや、厳密に試験された空気清浄機の設置に焦点を当てるべきである。人々はマスクの着用や安全な距離を保つことも心に留めておかねばならない。同時にWHOやCDCのような機関は最新の知識に基づいてガイダンスをアップデイトする必要がある。ウイルスやCOVID-19の研究はすばやく進展するので、公的な保健機関は人々を安全に保つために必要なことを提供する、新鮮で明確な情報を示す責任がある。

(訳者より)

どうしてWHOやCDCが空気感染に否定的な態度をとり、環境消毒のような接触感染対策に執着するのか?科学的ではない、他の理由があるのではないか。