表 急性気道感染症の成人患者のための抗生剤処方戦略、ACP/CDC 2016

 

急性気管支炎

咽頭炎

急性鼻副鼻腔炎

普通感冒

症例定義

最大6W持続する、湿性または乾性の咳。軽度の全身症状を伴う。

通常1週間持続する咽頭痛(しばしば嚥下で悪化)。全身症状を伴うこともある。

鼻詰まり、膿性鼻汁、上顎歯痛、顔面痛、発熱、倦怠感、咳、嗅覚障害、耳痛・膨満感、頭痛、口臭。症状の期間は1~33日だが、もっとかかることもある

最大2W持続するくしゃみ、鼻水、咽頭痛、咳、微熱、頭痛、全身倦怠感を伴う、軽症の上気道ウイルス疾患。

原因

ほとんどの症例はウイルス性:: influenza,rhinovirus, adenovirus, human metapneumovirus, coronavirus, parainfluenza, respiratory syncytial virus.
非ウイルス性:Mycoplasma pneumoniae, Chlamydophila pneumoniae.

ほとんどの症例がウイルス性。
非ウイルス性が15%以下。A群溶連菌(最も多い)、C群、G群溶連菌。
稀な原因:Arcanobacterium haemolyticum, Fusobacterium necrophorum,淋菌, ジフテリア菌, 黄色ブドウ球菌,野兎病菌, ペスト菌, Yersinia enterocolitica, 梅毒トレポネーマ.

ほとんどの症例がウイルス・アレルギー・刺激物によって起こる。
非ウイルス性は2%以下。黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、溶連菌、Moraxella catarrhalis, 嫌気性菌

すべての症例がウイルス性。重要な原因ウイルス:rhinovirus (最大50%), coronavirus (10%~15%); influenza (5%~15%), respiratory syncytial virus (5%), parainfluenza (5%) 低頻度:adenovirus, enterovirus, human metapneumovirus, 他の未知のウイルス

抗生剤使用のメリット

メリットなし

溶連菌感染ならば、抗生剤使用は罹病期間を短くし、急性リウマチ熱や他の合併症を予防するかもしれない

限定的

メリットなし

抗生剤使用のデメリット

軽症:下痢、発疹
重症:Stevens-Johnson症候群
重症感染:CD関連下痢症
致命的反応:アナフィラキシーショック、急性心停止

同左

同左

同左

抗生剤処方戦略

肺炎がない場合は、抗生剤の適応ではない。
非ウイルス性病原体のルーチンの検査は推奨されない。

解熱剤・鎮痛剤を処方する。溶連菌検査陽性ならβラクタム剤が処方される

 

抗生剤を使用すべきでない。

推奨抗生剤処方

 

 

 

 

ペニシリンアレルギーなし

処方しない

1)経口ペニシリンV、250㎎1日4回あるいは500㎎、1日2回、10日間
2)経口ペニシリン、50mg/kg(最大1000mg)、1日1回あるいは25mg/kg(最大500mg)、1日2回、10日間
3)ベンザチンペニシリンG、20万単位、1回筋注

1)経口アモキシシリン、500㎎、クラブラン酸、125mg、1日3回、5~7日
2)経口アモキシシリン、875㎎、クラブラン酸、125mg、1日2回、5~7日
3)経口アモキシシリン、500㎎、1日3回、5~7日

処方しない

ペニシリンアレルギーあり

処方しない

 

 

処方しない

Ⅰ型アレルギー(アナフィラキシー)の既往なし

 

1)経口セファレキシン、20mg/kg、1日2回(最大1回500mg)、10日間
2)経口セファドキシル、30mg/kg、1日1回(最大1回1g)、10日間

1)経口ドキシサイクリン、100mg、1日2回、200㎎、1日1回、5~7日
2)経口レボフロキサシン、500㎎、1日1回、5~7日
3)経口モキシフロキサシン、400㎎、1日1回、5~7日

 

アナフィラキシーの既往あり

 

1)経口クリンダマイシン、7mg/kg、1日3回(最大1回300mg)、10日間
2)経口アジスロマイシン、12mg/kg、1日1回(最大1回500mg)、5日間
3)経口クラリスロマイシン、7.5mg/kg、1日2回(最大1回250g)、10日間

1)経口ドキシサイクリン、100mg、1日2回、200㎎、1日1回、5~7日
2)経口レボフロキサシン、500㎎、1日1回、5~7日
3)経口モキシフロキサシン、400㎎、1日1回、5~7日